名刺は単に名前や所属先を記した紙ではなく、その持ち主や企業のイメージをも左右するビジネスパーソンにとって重要なアイテムです。しかし、名刺を作る際に印刷デザインはともかく印刷用紙の紙質に気を配っている人は、案外少ないのではないでしょうか。本記事では、印刷用紙が与える名刺のイメージや、印刷用紙の紙質・色などの特徴について、基本知識を解説しています。素敵な名刺作りのためにぜひご参考にしてください。
名刺に使われる印刷用紙には、さまざまな種類があります。色合いや紙質など、それぞれ特徴的なので、気に入ったものを選びましょう。主な印刷用紙の種類は以下の7つです。
まず代表的な用紙として挙げられるのが「コート紙」です。「光沢コート紙」あるいは「光沢紙」とも呼ばれ、特殊な薬剤によって表面がコーティングされていて、つやつやと光沢があるのが特徴です。
名刺以外ではカタログやパンフレットなどにもよく使われており、インクが染みにくく発色が鮮やかなため、例えば写真を入れたりカラフルにインクを使ったりした華やかな名刺を作りたい場合は、コート紙が最適です。しかし、ツルツルとした触感を好む人も少なくありませんが、メモ書きには向かないので注意してください。またコート紙は比較的安価なため、お手頃価格で名刺を作りたい人にもおすすめです。
【スタンダード名刺】ボンアイボリー195kg
2つ目は「マットコート紙」です。表面がコーティング加工されている点は上記のコート紙と同様ですがその加工効果は対照的で、艶消し処理のため光沢がなく、質感もさらっとしている点が大きな特徴です。そのため、マットコート紙を使用すれば、照明などの反射光で名刺が見にくいといった事態も避けられます。さらに、写真が映えるコート紙と比べ、マットコート紙は写真と文字両方の発色のバランスに優れているため、名前や所属先・電話番号やメールアドレスなど多くの文字情報を名刺に入れたい場合におすすめです。マットコート紙は厚みもあるため、名刺に使えば落ち着きのある手堅い印象を相手に与えられるでしょう。
【ハイスタンダード名刺】マットカード225kg
3つ目は「上質紙」です。上質紙は化学パルプで100%作られた表面に加工がされていない用紙を指し、書籍やノート・コピー用紙などに広く一般的に使われているポピュラーな印刷用紙のひとつです。
上質紙はコート紙と対照的な性質を持ち、インクが染みやすく発色が悪いため写真の印刷には向きませんが、自然な風合いで筆記性に優れています。また、上質紙の中には主に淡い色合いで着色された「色上質紙」という種類もあり、名刺の背景にお好みの色を添えることも可能です。上質紙はコストも安く抑えられるメリットもあるため、安価でシンプルな名刺を作りたい人にぴったりの印刷用紙です。
4つ目は「ヴァンヌーボ」です。ヴァンヌーボは厚くて耐久性があり、紙らしい温かみを感じさせる一方で、印刷適性の高さも兼ね備えた高級紙として知られています。ざらりとした手触りが非常に特徴的で、結婚式やパーティーの招待状などによく使われている紙と言えば、思い当たる人もいらっしゃるでしょう。ヴァンヌーボの落ち着いた風合いや印刷部分のほどよい光沢は、高級感のある印象を与えるため、特に社長などの役職者の名刺に特にぴったりです。独特の繊細なニュアンスを感じさせる、エレガントな名刺を作りたい人は印刷用紙にヴァンヌーボをお選びください。
【ハイスタンダード名刺】ヴァンヌーボVスノーホワイト215kg
5つ目は「マシュマロホワイト」です。多目的用紙(マルチペーパー)として知られるマシュマロホワイトは、名刺の印刷用紙としても定番のもので、その名の通りマシュマロのような鮮やかで透き通るような綺麗な白色が大きな特徴です。
用紙自体はやや厚みがあるものの、しなやかな風合いとなめらかな手触りを持つためシワが寄ったり破れたりしにくく、その優れた発色から写真・イラスト印刷に抜群の相性を発揮します。名前の横に写真やイラストを入れて、パーソナリティを前面に出した名刺を作りたい人におすすめです。
【スタンダード名刺】マシュマロホワイト180kg
6つ目は「スノーエッセンスキラ」です。スノーエッセンスキラには両面パール加工が施されており、他の印刷用紙と異なり真珠のような光沢が、表面に散りばめられているのが大きな特徴です。その名前にふさわしく新雪のような美しい白が際立った色合いで、通常の印刷用紙とは異なる高級感があります。また、スノーエッセンスキラにはコート加工がされているのでインクの発色も良く、用紙も厚すぎない点も魅力的。特に顔写真との相性も抜群なので、顔写真入りの名刺に適しています。上品で高級感のあるきらびやかな見た目の名刺を作りたい人は、スノーエッセンスキラを使った名刺で個性を出してみてはいかがでしょうか。
【ハイスタンダード名刺】スノーエッセンスキラ207kg
7つ目は「ジェントルロック」です。ロック(岩)という名が冠されているように岩肌のような、高級感のあるゴツゴツした質感・手触りが特徴で、名刺のほか出版物や商業印刷物など広く使われています。
そしてジェントルロックは再生紙や古紙を多く配合しているため、印刷用紙の中では安価な部類に入ります。ジェントルロックはコストを抑えながらボリューム感と高級感を兼ね備えた名刺を作れる、まさに良いとこどりの印刷用紙です。また、ジェントルロックは洋風・和風どちらの名刺にも使える柔軟性を持っています。独特の控えめな表情を持った名刺を作りたい人には、ジェントルロックがおすすめです。
【ハイスタンダード名刺】ジェントルロック175kg
ここまで解説した7種類のほかにも、さまざまな材質の印刷用紙があります。例えば、日本で長い伝統を持つ和紙は独特の風合いを持った名刺を作るのに適していますし、抗菌効果のある印刷用紙は、衛生面に気を配りたい医療関係や多くの人と触れ合う営業職の人に人気です。また、前述した色上質紙を使って白以外を基調とした名刺を作るのもよいでしょう。そのほかにも、環境にやさしく、耐水性にも優れたライメックスなど、新素材の用紙も登場も見逃せません。オリジナリティあふれる名刺を作りたい人は、こうした特殊用紙を使ってみてはいかがでしょうか。
このように、印刷用紙には用途や目的により多数の種類が存在するので、目移りしてしまってどれを選べばよいか分からなくなってしまうかもしれません。
印刷用紙を選ぶ際のポイントには紙質や厚み・色などが挙げられますが、特に色合いは名刺全体の印象を左右します。
たとえば名刺用紙の定番の色は白ですが、一口に白と言っても「新雪のように輝かしい白」「ミルクのようなマットな白」「ベージュのような黄色味がある白」など微妙に色合いが分かれると雰囲気も異なってくるため、慎重に検討しましょう。
特にロゴや写真などを名刺に入れる場合は特に重要です。例えば光沢のある真っ白な紙にカラフルなインクを乗せれば、コントラストで色がよく映えることでしょう。
さらに、インクの発色に関しては紙質も大きく影響します。紙質が平らかで滑らかであれば反射光の方向が均一なため、同じ色でも表面が平らであればあるほど鮮やかに色が映え、逆に滑らかさに欠ければ色味がくすんだ、いわゆる発色の悪い状態になってしまいます。
また、名刺の厚みによっても相手に与える印象は変わります。たとえば厚みのある名刺は相手に高級感を感じさせやすく、強い存在感を与えられます。対照的に、厚みの薄い名刺は軽やかでスタイリッシュな印象を相手に与えるので、自分の与えたい印象によって厚みを考えるのもよいでしょう。そのほか、厚みがあれば耐久性に優れ、薄ければかさばりにくく利便性に優れるので、この点を用紙選びのポイントにするのも一考です。
このように印刷用紙の種類によって、名刺を受け取ったときの相手の印象は大きく変わります。名刺を作る際は、渡した相手にどんな印象を持ってもらいたいかを考え、色味やデザイン・予算を考慮して印刷用紙を選ぶのが大切なのです。
自分の希望通りの名刺を作るには紙質・色・厚みといった多くの要素を考える必要があるため、意外と手間がかかってしまいます。自分のイメージ通りの名刺を作るためのコツには、どのようなものがあるのでしょうか。
ひとつは、名刺業者から用紙のサンプルをもらうことです。手触りや色合いなどの確認は、やはり実物に勝るものはありません。名刺の作成サービスの中に、用紙のサンプルをもらえることもあり、例えばアスクルの名刺作成サービスでは、全23種類の無料サンプルが用意されています。作ってから実際のイメージと違う、という感想を抱きたくない場合は、このようなサービスを利用するのがおすすめです。
次は、デザインテンプレートを使ってみることです。名刺が相手に与える印象は、印刷デザインによっても当然大きく左右されますが、0からおしゃれなデザインを考えるのは大変という人もいることでしょう。そのような人に向けて、名刺作成サービスではデザインテンプレートを用意しているところもあります。例えば、アスクルの名刺作成サービスでは400種類以上のデザインテンプレートを用意しており、名刺にQRコードを付けるサービスも提供しています。手軽に名刺を作りたい人にとって、こうしたサービスは心強い味方です。
もうひとつは、名刺データの保存サービスのあるサイトを利用することです。名刺は消耗品なのでストックが切れることも頻繁にあります。そのようなときに1から名刺のデザインや注文をやり直すのは面倒なので、再注文の手間を省略すべく名刺作成サービスでは作ったデザインを保存しておいて、いつでも再注文できるサービスを利用しましょう。
例えばアスクルの名刺作成サービスでは、注文内容を5年間保存可能です。このサービスを利用すれば名刺がなくなった際も簡単に再注文できるため、忙しい企業の担当者も効率的に業務をこなせます。また、保存されたデザインデータは、他の用紙などにも流用できるので、細かな仕様変更などにも柔軟に対応可能です。
名刺はどの印刷用紙を使うかによって、インクの発色や紙の手触り、厚みなどが大きく変わります。そのため、希望通りの名刺を作る際は印刷用紙の種類から検討してみましょう。アスクルのプレミアム名刺なら、20種類の用紙から好みのものを選べるので、イメージ通りの名刺を作れます。名刺を作成する際にはぜひアスクルをご利用ください。