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FSC認証紙コラム

FSC認証紙とは? 再生紙との違いと活用のメリット

貴重な森林資源を守るために、FSC認証紙を使用する取り組みが注目されています。しかし、以前から広く流通している再生紙と比べて、FSC認証紙はまだ広く知られてはいません。この記事では、原材料である木材から加工・流通に至るまで管理されているFSC認証紙について、再生紙との違いや、使用することで得られるメリットなど、詳しく解説します。

    FSC認証紙とは

    ティッシュなどの紙製品に、木のロゴの下に「FSC」と書かれたマークが付いているのを見かけたことはあるでしょうか。この「FSC認証マーク」が付いている紙製品が「FSC認証紙」です。ここでは、FSC認証紙について、生まれた背景や認証の種類などについて紹介します。

    森林を適切に管理・保護しながら作られた紙のこと

    FSC認証紙とは、森林資源を守ることを目的として厳格に管理された森林の木材を使用して作られた紙のことです。国際的NPO法人であるFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)が認証機関として運営する認証制度です。

    世界的に森林の減少が長年にわたって大きな問題となっています。森林破壊は、気候変動や生態系の破壊など、多方面にわたって悪影響をもたらすことが懸念されています。森林破壊を防止するため、森林を適切に管理することが必要です。また、違法な森林伐採は森林の減少だけではなく、適切に管理された林業を衰退させることにもつながります。

    そのため、木材の生産や流通などに携わる企業だけでなく、消費者も製品の原材料が適正なものかどうかを意識することが求められています。FSC認証マークの付いた紙製品を選ぶことで、私たちの日常生活と地球環境が密接に関わっていることを改めて認識するきっかけとなるでしょう。

    (参考サイト:森を守るFSCマークとは)

    FSC認証が生まれた背景

    FSC認証が誕生した背景には、森林破壊に対する国際的な取り組みの歴史が関係しています。1992年にブラジルで「環境と開発に関する国際連合会議(通称:地球サミット)」が開催されました。この会議は世界180か国(うち100か国余りの元首または首相が出席)が参加した大規模なもので、気候変動や生物多様性など、環境について幅広い議論が交わされました。

    森林破壊についても話し合われ、「森林原則声明」が採択されています。ここでは15項目の森林に関して国際的に取り組むべき課題が合意されました。声明自体は法的拘束力のないものでしたが、これをきっかけとして、国際的な森林認証制度の必要性が認識されるようになりました。

    その後、1994年にFSCが正式に発足します。同時に、森林破壊に歯止めをかけ適切な伐採を行っていくためのガイドラインとしてFSC認証が誕生しました。

    2種類のFSC認証

    FSC認証には、FM認証とCoC認証の2種類があります。FM認証(Forest Management:森林管理)は、森林の生産や保全から伐採までをチェックする制度です。CoC認証(Chain of Custody:加工・流通過程)は、紙製品や木材製品の製造・加工から流通に至るまでをチェックする制度です。

    FM認証を受けた森林で伐採した木材であったとしても、製材から加工、流通に至るまでの間で、1社でもCoC認証を取得していない事業者があると、FSC認証は受けられません。このように、製造や流通の途中で、不適格な木材の混入を防止するように、厳しく審査されています。最終製品をFSC認証製品として取り扱うためには、FM認証からCoC認証までの一連の認証を受けなければなりません。

    3種類のFSC認証ラベル

    FSC認証を受けた製品は、FSC認証ラベルを付けることが許されています。FSC認証ラベルには以下の3種類があり、それぞれのラベルは表示や説明文が異なります。

    • FSC100%:原料の100%がFSC認証林に由来している製品であることを示すラベルです。
    • FSCミックス:FSC100%やFSCリサイクルなど、FSCが認証する原材料が複数使用されている製品に付けられるラベルです。
    • FSCリサイクル:使用している原材料のうち、回収原材料が100%を占める製品に付けられるラベルです。

    FSCの認証方法

    FSC認証は、FSCが直接行うのではなく、独立した第三者認証機関が担当しています。認証機関が審査対象の組織に対してコンサルテーションを実施することは禁止されています。

    FSCの認証を受ける手順は、まずFSC認証機関に問い合わせ、かかる費用や時間の見積もりを取得します。次に認証機関を決定した後、契約を結びます。認証機関の審査員によるFSC規格適合審査では、事務所や工場、倉庫などの確認や、管理体制や管理手順などといった実務面の調査が行われます。その結果をまとめた認証審査報告書によって認証発行の合否が通知されます。不順守があった場合は、是正措置を経て改善の確認を受ける必要があります。

    FSC認証を取得した後は、認証機関から認証書が発行されます。有効期間は5年間です。さらに、認証を維持するためには、毎年1回の年次監査を受けなければなりません。

    日本国内では、CoC認証を行う認証機関は6社あります。そのうち、FM認証も担当している機関は2社です。

    FSC認証紙と再生紙との違い

    再生紙も環境に配慮した紙製品です。しかし、その内容はFSC認証紙とは異なります。大きな違いはそれぞれの原料にあります。

    再生紙の主な原料は、回収された古紙です。古紙は水と薬剤で溶かしてゴミやインクなどを取り除いた後に脱水することで古紙パルプとなり、紙へと生まれ変わります。ただし、再生紙によって古紙パルプの配合率はさまざまです。例えば、公益財団法人古紙再生促進センターが運営するグリーンマークの基準では、古紙を原則として40%以上、ただしトイレットペーパーやちり紙は100%、新聞用紙やコピー用紙は50%以上と定められています。

    (参照元:https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/a04_17.html

    一方、FSC認証紙は古紙パルプを使用しません。新しく伐採した木材から作られたバージンパルプだけを原料とします。

    再生紙は古紙パルプを使用しているため、木材資源の節約や廃棄物の削減といった効果があります。しかし、バージンパルプのみで製造されるFSC認証紙と比べると、品質は落ちます。FSC認証紙と再生紙のどちらが優れているかを比べるのではなく、それぞれにメリットがあるため、用途に応じて使い分けることが重要です。

    FSC認証紙を選ぶメリット

    消費者が意識的にFSC認証紙を選ぶことで得られるメリットとして、気付かないうちに環境破壊に関わってしまう可能性を減らせることが挙げられます。FSC認証を受けていない紙は、違法に伐採された木材を原料としているかもしれません。そのような製品を購入した結果、気候変動や生態系の破壊などに意図せず加担してしまう可能性が生じます。特に日本では木材自給率が5割に満たず、大半を輸入に頼っている状況にあるため、FSC認証紙を選ぶことによって地球資源の保護に貢献できます。

    (参照元:https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/220930.html

    FSC認証を受けていない用紙は全て違法伐採の木材を使っている、ということではありません。承認を受けていない製品を使うのはだめ、という考え方ではなく、承認を受けているFSC認証紙を意識的に選択することで環境に配慮することにつながる、という姿勢が重要です。

    FSC認証紙を使用したい場合はどうすれば良い?

    封筒チラシなどの印刷物にもFSC認証紙を付ける事が可能です。そのためには、FSC認証を受けた印刷企業・文具企業に印刷を依頼する必要があります。印刷もまたCoC認証の加工・流通過程に含まれるからです。ただし、印刷物を使用する企業や団体は認証を受ける必要はありません。

    FSC認証紙には、普通の上質紙から、アート紙やコート紙などさまざまな種類があります。そのため、ポスターやチラシ、会社案内パンフレットなど、多くの印刷物に使用することが可能です。

    認証ラベルの入った印刷物を使用することで、環境に配慮した企業であることのアピールにつながります。近年では、環境(Environment)・社会(Social)・管理体制(Governance)を重視する「ESG経営」への取り組みが企業に求められています。単に利益を追求するだけでなく、地球環境や未来を見越した企業運営の一環として、FSC認証紙を選択することが有効です。

    パプリの環境への取り組み

    ASKULが運営するネット印刷サービスの「パプリ」では、FSC認証を受けた森林から伐採された木材を原料としている紙を加工・流通するために必要となるCoC認証を取得しています。パプリが提供する名刺・封筒印刷サービスでは、80%でFSC認証紙を使用しています。また、名刺印刷においては、プラスチック製の名刺ケースを廃止し、紙製のものに変更することによって、脱プラスチックにも配慮しています。

    環境に配慮した紙類としては、お茶殻入り封筒も用意されています。飲料工場で発生する、本来であれば廃棄される茶殻を混ぜた「茶殻紙」で封筒を製作できます。廃棄物の削減につながるだけでなく、茶殻繊維によってクラフト紙に比べて透けにくく、高い情報保護性を有する効果があります。パプリの茶殻入り封筒は、裏面に茶殻リサイクルのマークと説明文が印刷されているため、自社の環境への取り組みをアピールすることが可能です。

    VEGETABLE OIL INK

    他にも、パプリの封筒印刷では環境に配慮した植物油インキを使用した封筒も用意されています。大豆油や植物油を使用した植物油インキは、石油系溶剤が原料の通常インキに比べて環境負荷の低減に寄与します。

    パプリの環境への取り組みについて詳しく知りたい方は、以下のリンクからご一読ください。

    FSC認証用紙に印刷

    まとめ

    FSC認証紙は、適正に管理された森林の木材を原材料とした、加工・流通に至るまで厳格に審査を受けた紙製品です。認証ラベルの入った紙製品を使用することで、森林を守るだけではなく、気候変動や生態系破壊といった問題に意識を向けることで、持続可能な森林管理を広めていくことにつながります。
    パプリでは、FSC認証紙の採用をはじめ、さまざまな環境保全・保護に配慮した取り組みを行っています。